迎え盆は十三日で、この日には盆棚を作り、送り盆をする十六日まで飾る。犀川以北の村や千曲川沿岸の村のなかには、盆棚を作らないとか仏壇の前に位牌(いはい)を置いて供え物をする程度であるというところもある。盆棚は仏壇の前に作ることが多い。仏壇が座敷にある場合には、床の間に作る場合もみられる。灰原では桶をひっくり返した上におし板を置き、その上に新品の盆ござをかけて盆棚を作り、本尊様や位牌を並べ、自分の家でとれたうりやなすなどの野菜のほか、菓子、果物、盆花、盆灯籠(どうろう)などを飾る。また岩崎(若穂綿内)や塚本(若穂川田)では仏壇の前に出した台の前方両脇に竹やよしを立て、上部にも横に一本竹などを渡してそこへそうめんをかけるという。
盆棚には、なすやきゅうりの馬を作って供えるところも多い。それらの一端にとうもろこしの毛をつけて尻尾とし、折った割り箸を四本さして足とした。この馬に乗って如来様がお客に来るという。また、なすを一センチメートル角のさいころ状に切って皿に盛り、馬のえさとして添えたり、半分に切ったなすを蓮(はす)の花がわりとして葉にのせて供えたりもする。お参りするときにはえさが乾かないようにと、みそはぎの小枝に水をつけてはそれらに振りかけたりもする。供え物の菓子は盆菓子とか飾り菓子ともいう。そうめんやおやき、テンプラを供えるところも多い。
墓掃除や盆棚作りも終わり仏様を迎える準備が整った十三日には、家々で迎え盆をする。墓前では、麦わらやカンバとよぶ白樺(しらかば)の皮で迎え火を焚(た)き、仏様を迎える。そのときに「ジーサン バーサン コノアカリデ オイダイ オイダイ」などと唱える。また帰ってくると家の門口でも迎え火を焚く。以前は十四日と十五日にも同じように火を焚き、これを迎え火などといったところもあった。
十四日には、なすのおやきや団子、そうめんを作って供える。十五日には赤飯やぼた餅を作ったりもする。