ミサヤマ

226 ~ 227

八月二十七日前後の日をミサヤマとよぶ。一月遅れの九月二十七日をミサヤマとよんでいるところもある。この日は腹の病にかからないようにと、かやの箸(はし)を使ってアズキメシや赤飯を食べることが多い。小市(安茂里)ではミサヤマには山の神にすすきの箸とアズキメシを供え、家のものも食べた。山でけがをしないように山の神をまつるのだといった。桜枝町ではかやの箸で小豆の御飯を食べると虫に刺されないといった。

 かやの箸は茅箸(かやばし)ともいったが、桜枝町ではお月見のときに神酒に挿したかやの穂の下の部分で作るという。これらの箸は翌日に川へ流した。使ったままで捨てた箸を人に拾われるとよくないといい、わざわざ折って捨てたりもした。日方ではかやで箸を作るほかに、山の神に五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈るためにかやで鍬(くわ)や鎌(かま)の形を作って供えたという。長谷ではこの日の朝は、太陽と月と星をいっしょに見ることができるともいわれている。また、今井(川中島町)では蚊やあぶが嫁にいくのを祝ってする行事であるといっていた。