実りの秋を目前にした二百十日前後に来る台風は、しばしば大災害をもたらすことがある。農家にとっては一年間の苦労が報われるこの時期に、風水害による被害を防ぐことにはことさら心をくだく。そのために八月下旬から九月一日ころにかけて、風祭りとかトウセンボウとかといって神社で祈願祭がおこなわれる。南長池(古牧)では神社で祭りをして切ってもらった御幣(ごへい)を、風の来る方角に鎌を添えて立てたという。さおの先に鎌をつけて、刃先を風の吹いてくる方向に向けて立てたところは善光寺平に点在している。このほか神楽を奉納したり、神主の祈禱(きとう)などをして台風が無事に過ぎることを願うところは多い。とくに収穫期を迎えた稲やりんごなどにとっては強風が大敵であるため、現在も村をあげて盛んにおこなわれている地区もみられる。