秋も深まったころ、農作業に使った道具類は作物の種類や作業の工程によってそれぞれていねいに片づけて、道具じまいをした。
稲刈りが終わった十月末ころには、カマアゲといって稲刈り鎌をきれいにして片づけた。この日には餅をついて鎌をまつったり、とろろ汁を食べたりした。つづいて十月末から十一月十日前後にかけてはコキアゲといって、稲こきのあと機械類の手入れをしてぼた餅などを作って食べた。
麦まきが終わった十月末ころにはクワアゲといい、畑作に使った鍬を洗って片づけて、テンプラを供えたりした。小市ではクワアゲを十一月二十四日にやり、鍬、備中(びっちゅう)鍬、草掻(か)き、鎌などを洗って片づけ、おやきや新米の御飯などを家の神棚に供えたというし、岩野では十二月十二日を道具じまいとか仕事じまいとよんで、鍬などの土を落として道具部屋に納めたという。