盆踊りを踊る期間は、八月十三日から十六日までの四晩踊るところがもっとも多い。南長池・栗田のように八月一日から七日まで、西平・中川のように八月一日から盆まで毎晩踊ったところもある。岡や境では、八月十四日から一〇日間毎晩踊った。
踊る場所は、神社や寺院の境内が多く、時代が下がると学校や公民館などの庭でも踊っている。戸部、東横田では、踊る場所にやぐらを立てて、それを中心に踊りの輪を広げていった。そのやぐらの上で声のよく立つ音頭取りがそこに集まった踊り手をリードした。音頭取りは、踊り手の輪の中にあって、ひときわ高く声を張り上げて歌をつなげていった。音頭取りをするのは、境・桜枝町などをはじめ、声のよく立つ人、歌の好きな人がなることが多く、赤沼のように青年会の役員がつとめたところもある。
昔は、輪になって踊る手踊りが中心であり、太鼓などの楽器を使用しないところも多かった。拍子木だけを使用し音頭取りのリードで歌に合わせて踊ったところもある。
盆踊りの歌の種類は数々あり、各地域で共通して踊られているものもあれば、その地域特有のものもある。各地で踊られているものに木曽節、佐渡おけさ、伊那節、草津節などがあり、地域に伝わる歌で踊られてきているものには戸部甚句、保科甚句、田子甚句などがある。田子甚句の一節につぎのような歌詞がある。
田子甚句と観音様は 人と人との和をつなぐ 月はまんまる 出ているけれど おまえこなけりゃ 真の やみ わしの心と おまえの心 田子甚句で 実がむすぶ