こどもからおとなに

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小学生になると、こども仲間が行事に参加することがある。昭和三十年以前まで男の子の参加する行事としてもっとも多くおこなわれていたのはドウロクジン、ドンドヤキなどとよばれる小正月の火祭りであった。そのほか、虫送りや天神講などにも参加し、当番の家でごちそうを食べたりトランプなどをしたりして楽しんだ。また、南長池では三月三日に女の子が当番の家に集まりヒナアソビをしたという。

 一五歳になると、若者仲間に加入するところが多い。一月十五日にお神酒をもっていって仲間入りをするところが多かった。若者仲間に加入すると一人前と認められた。そして、祭りにかかわるとともに道普請や村の共同作業などをするところもあった。桐原では、女子青年会に参加した女性は裁縫、料理、編物、染物などを習った。

 若者たちが一人前と認められるために目安とされることがあった。男は米俵を一俵かつぐことができる、あるいは一日にミツマタ(備中鍬(びっちゅうぐわ))でサンビョウドリ(約一五〇坪)を田起こしできれば一人前とするところもあった。女は着物や羽織、桍を一式縫えるとか、一日に一反機(はた)織りができるとか、あるいはそばやうどんが打てる、米俵を背負うことができるなど、仕事の量によって一人前の判断をすることが多かった。