縁談

271 ~ 272

年ごろの若者が家にいると、「あの家によい娘がいる」などといって縁談がもちこまれた。こうした人たちを下仲人、クチキキといった。商いなどのときに「うちの娘をお願い」と頼まれた人が下仲人になったり、男女の縁を進んで取りもってくれる人が下仲人になることが多いが、相手のよいところばかりを話すことがあったため、下仲人は七つのうそをつくなどともいわれた。

 かつては、家柄などの釣り合いを重視して相手が選ばれることが多かった。そうした条件を考慮して、よいということになると本人同士が会うこともなく縁談が進み、婚礼の席で初めて相手の顔を見るということも少なくなかった。このように、親同士の話し合いで縁談が進むことが多く、恋愛による結婚が増えたのは昭和三十年代以降のことであった。それまでは、恋愛関係にある男女はクッツキ・クッツキアイ・オネバリ・ネツレ・ホレアイなどといわれ、まわりから反対されることが多かった。