荷送り

274 ~ 275

婿入りが終わると、嫁方では嫁の荷物を出した。荷物を運ぶ人をニザイリョウ(荷宰領)・サイリョウ・ニゼリ・ニズイリョウ・ニショイなどとよび、ウチワか親類が当たった。荷物が確実に相手方に届いたことを確認するミトドケが一人付くこともあったが、仲人が兼ねることもあった。荷物は長持ち歌をうたいながら背負ったり大八車にのせたりして運んだが、昭和になってからはリヤカーやトラックなどが使われるようになった。

 荷物の受け渡しは婿の家でするだけでなく、村境や、道中でナカヤドを決めて渡すなどさまざまであった。田子では、荷の受け渡しのときに本仲人が嫁入り道具をすべて帳面に記入して、渡した荷物が分かるようにした。

 荷物が出ると、嫁方では婚礼に出ない友人や近所の人を招き、婚礼とほぼ同じごちそうを出して見立ての席を設けた。この見立ての席が終わると、嫁は生家を出発した。