栗田では、嫁が婚家に着くと麦わらのたいまつで嫁の通った道を焼き切って嫁の帰る道をふさぐまねをしたが、これはきつねが化けた嫁だといけないから、焼いてしっぽを出すかどうか確かめるためだといった。長谷(篠ノ井塩崎)では、仲人に伴われた嫁が勝手口の両側にたいまつをともしそのあいだを通って座敷に入ったが、それと同時にたいまつの火が消された。
四ッ屋や戸部では、嫁が婚家に入るときに麦わらのたいまつで嫁の尻をたたいて、痛い(居たい)といわせたという。
また、嫁の履いてきた草履の鼻緒を切って屋根に投げる風習は、昭和三十年ごろまで各地でみられた。嫁は勝手口から婚家に入るところが多く、三水ではお勝手回りといって仲人が嫁の手をとってお勝手を回った。