婚礼の翌日をミツメといい、朝に赤飯をふかして近所に配り、近所の女衆を招いて昼食をごちそうするところもあった。ミツメの席が終わると嫁は姑に連れられて近所回りをした。桜枝町では婚礼の席に座らなかった近所の女衆を朝客といって昼間に招待し、夜は男衆を招いて席を設け、これを組合ブルマイといった。
また、三日目に嫁は里帰りをする。嫁・婿・婿の両親・仲人が嫁の生家にいった。犬石ではヒザナオシともいい、夫婦だけで行くこともあった。婚礼のときに結った島田は里帰りのときに洗って結い直して、嫁の実家に一泊した。里帰りをする機会は、決まっていることが多い。田子では、嫁にきて初めて迎える四月と六月の節供のときにも里帰りをするが、四月の節供には夫婦二人で泊まりにいって帰りに赤飯をもらい、六月の節供には髪を本島田に結って、黒の絽(ろ)のすそ模様の着物を着て姑とともに里帰りした。そのほかに、嫁が実家に帰れるのは、正月、盆、彼岸、生家の祭り、農休みなどだけであった。
婚礼につづくさまざまな行事がすんだあと、仲人・親分・親類などが都合のよい日を選んで嫁呼びをしてくれる。また、浄土真宗の家では、寺に嫁を連れていってあいさつをする。これをオモトヅキといい、寺から嫁に数珠(じゅず)をあたえる。