死者への供物

282 ~ 283

死者の枕元には、花・線香・ろうそくなどを飾った祭壇を置く。それとともになるべく早く枕飯や枕団子を作って供える。

 枕飯は亡くなった人が生前に使用していた茶碗に御飯を高く盛り、その真ん中に新しい箸を一膳立てて供えるというところが多い。古森沢では生の味噌汁もふだん使っていた食器に盛って供えるという。

 枕団子は生団子ともいい、生米を粉にひいたり、小麦粉を材料にしたりして、水や湯で練ってまるめて作る。団子の数は地区によって差がある。五十平や三水などでは四個、小市(安茂里)や岡(篠ノ井西寺尾)などでは五個の団子を供えるという。また西平や桜枝町などのように、一二個の団子を供えるところもある。そのほか、岩崎では特定の数ではなく、米の粉を練ってそれを残さないようにして奇数個の団子を作って供えるという。灰原では四個の団子を作って供えるので、この団子をヨツダンゴとよんでいる。

 田子では死者の枕元の経机の上に枕飯・奇数個の枕団子を供えた。この団子は早く食べてもらうのがよいとされ、土葬のころには葬式の翌日にお墓に供え、からすなどに食べさせたという。

 そのほか、広瀬ではさわらの箸三本に紙を巻いて作ったシカとよばれる飾り物を大根に挿して供えるという。