死者が出ると、こども、親戚(しんせき)、近所の人びと、子分などがその家に集まり、葬儀の準備をする。寺や火葬場などと連絡をとりながら葬儀の日取りを決めたり、各人の役割を相談したりする。
さまざまな講集団が葬式のさいに協力をするところも多くみられる。境では葬儀の講が二〇戸くらいで作られており、不幸のときには協力をする。岩野(松代町)では伊勢講が葬儀の埋葬について奉仕をする組織になっているという。また庚申講の仲間が不幸のときに、さまざまな手伝いをするといったところも少なくない。犬石ではオカノエコウ(お庚講)の仲間は葬式の手伝いができるように他人同士で組んだという。このように講仲間などが告げ人をはじめ、穴掘りや輿(こし)かつぎ、葬儀に必要なものをそろえるなど葬式の準備にあたったところも多い。
田子では、親分が亡くなると子分が黒豆のおこわ・まんじゅうを食籠(じきろう)に入れ、紋付きの風呂敷に包んで背負ってもち寄ったという。それらは御斎(おとき)のときに膳につけて食べたり、女衆が食べたりしたが、最近は親分の家に食籠分としてお金を包むだけのことが多くなり、葬式の準備もしだいに変わってきている。