葬式がすんだあと、葬儀に参列した人びとや手伝ってくれた人びとに食事をふるまうことをオトキ(御斎)という。御斎の料理には生ものはいけないとされ、野菜などを中心にした精進(しんじょう)料理を作った。
葬儀には黒豆のおこわを蒸すというところは多い。またテンプラや麺類を作るところも少なくない。
芹田ではかつて、魚っ気をいっさい用いないで御斎の膳を作ったが、そのほか、スズリブタとよぶ小さな折に餅で作った板つけ・きんとん・よせを詰め合わせ、お茶・砂糖・まんじゅうなどをつけたという。葬式の引き出物としては、昔はさらし一反・寝巻地一反が相場であったが、最近ではこたつ掛けやシーツ・布団カバーなどと多様になってきている。
太田では葬儀のときには黒豆のおこわを蒸し、油揚げ・薄揚げを細くしたしめあげ・ゆばなどで料理を作る。折詰めにはれんこん・長芋・しいたけなどの煮物を入れる。しめあげやゆばは昭和十五年(一九四〇)ころまで用いた。法事には小豆の入った白いおこわ、油揚げなどを用いる。近年は刺身も使うようになってきているという。
葬式の晩、片付けのあとに手伝ってくれた人びとに刺身などの料理を出してお礼をすることを、犬石ではマナイタオトシといったりした。