新盆など

294 ~ 295

新しく死者を出して最初に迎える盆をアラボン(新盆)という。新盆の家には盆前に親戚などから盆提灯が届けられる。市内では八月十三日を中心に親類や近所のものなどがよばれていく。これを新盆見舞いなどというが、北屋島では新盆参り、三水では御棚参りなどといったりもする。よばれた家ではろうそくや線香、米・小麦粉、菓子・果物などをもってお参りにいく。最近ではお金を包んでいくことも多い。それにたいして昔はお返しなどはしないことがふつうであったが、最近では砂糖・お茶などを用意する家も出てきた。ふつうは「結構なお盆でございます」などいうのであるが、このときには「こちらでは、おさむしい盆でございます」などとあいさつをする。新盆の家では、お焼香をしてもらい、料理や引き出物などを出す。灰原ではメシツギに米または新麦の麦粉を入れて線香・菓子・盆提灯・ろうそくなどを添えてもっていった。メシツギのなかのものは、その一部をもらい少し残して返すものだとされ、知らずに全部もらってしまうと物笑いの種になったという。

 広瀬では七月三十一日を盂蘭盆(うらぼん)とよび、この日に新盆の家では親戚の人びととともに善光寺にお参りにいく。このときはおやきをこしらえ持参するという。また、この日はかならず雨が降るといわれ、これをオニワアライ(お庭洗い)とよぶ。

 また年の暮れにはアラドシ(新年)、アラミタマ(新御霊)などといい、死者のあった家にお参りにいく。


写真1-108 盆提灯を飾った新盆の盆棚
(若槻 平成9年)