ウチワ

399 ~ 399

ウチワということばで示される家集団の範囲は地域あるいは所帯により異なる。しかし、大きく分けると、血縁を中心とした家集団を指すマキと同じ範囲である場合と、血縁を中心としながら非血縁を含む家集団を指す場合とがある。この村でのウチワは後者であり、ウチワは「冠婚葬祭で手伝いあう間柄の家」であるという。また「仲人・親分・名付け親・カネツケオヤなどはウチワのなかで頼みあう」ともいわれている。この集落に住む所帯はぜんぶで二三戸であるが、他出している二戸も葬儀の手伝いにかかわるので、部分的にウチワに数えられている。

 一例として、ある家のウチワをみると、同じマキの所帯六戸とマキが異なる他姓の所帯五戸から構成されている。もっともかかわりの深い本家が中心的役割を果たし、葬儀全体をとりしきる男性の亭主役と女性の台所総支配人であるオイヌシを引きうけている。同じマキの所帯が村内にある場合には、その所帯の人が中心となって葬儀を手伝っている。マキが異なる家は、以前仲人を頼んだ家や、親分にあたる家、また、子分にあたる家、子分ではないが就職や縁談のさいに助力した家などで、さまざまな縁によってかかわっている。