オチツキ

404 ~ 405

葬儀当日、喪家でウチワの女性たちが最初に用意しなければならないのは、オチツキ(落着・落付)とよばれる弔問客にふるまわれる軽食で、お茶やそば、漬物などを用意する。朝、暗いうちから屋外にヘッツイをもちだし、五升釜(がま)をのせ火をおこして湯を沸かし、そばなどをゆでる。多いときは一五把(わ)くらいいっぺんにゆで、そのあとで煮干しでだし汁を作る。ゆでたそばはかごに取り一把を七つの椀(わん)に分け、青みのネギと油揚げをのせ、だしから作ったシタジ(汁)をかける。また、オチツキを出さない場合でも、お斎(とき)のときにそばを食べたいという人がかならず出てくるのでゆでておく。漬物は沢庵(たくあん)や白菜、野沢菜漬け、糠(ぬか)漬け、辛子(からし)漬けなど、さまざまな種類のものをみんながもち寄るが、生野菜が豊富な季節にはきゅうりやなす、かぶ、白菜などの即席漬けを作る。

 なお、オチツキは婚礼のときにも作って出した。現在、結婚式はほとんど街にある式場でおこなわれるが、オチツキとしてオコワやきんぴらなどを重箱に詰め、取り箸(ばし)を添えて式場へもっていき、式の前に親族に食べてもらう人もいる。