喪家の外での食

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火葬場へはこどもや孫、兄弟姉妹(しまい)などの身内だけで行く。おにぎり、漬物、酒一升、菓子などをもっていくが、残りものはもち帰らずその場に捨ててこなければならない。理由は不明だが、おにぎりには芯(しん)になるものを入れてはならず、梅漬けをこまかく刻み御飯に混ぜこんだものを握る。

 昭和五十年代までは、これと並行してブクバライが公会堂でおこなわれた。ウチワを除いた村人に集まってもらい、親類総代が身内や亭主役とともに「お世話になりました」とあいさつをし、故人の思い出話などをしていた。これは、村内で火葬していたころは、火葬の管理を頼んだムラヤクをねぎらうためにおこなわれたという。各戸から少なくとも一人は出席し、親しい場合には二人出ることもあった。このときは酒以外に五品の煮物、煮豆やきんぴらなどをメシツギに詰めてもっていった。これも火葬場へもっていく食べものと同様に、不足しないように十分に用意しなければならないが、たとえ余ったとしても絶対に残りものを家へもち帰ってはいけない。現在はブクバライはしなくなったが、出棺のときには村人はみな、見送りに出てきてくれる。