なにを作るかは紙に書きあげ、当日、台所の壁にはっておく。この記録は残されていないが、だいたい一〇品ほどそろえることが多く、最低五品以上は出す。主なものはつぎのようなものである。
・きんぴら
・きらず(おから) 卯(う)の花にちくわやねぎを入れる。
・煮魚(煮物) 具の数は奇数で、凍(し)み豆腐やこんにゃくや季節の野菜(冬ならば大根、里芋、にんじんなど、夏ならばかぼちゃなど)を加える。
・テンプラ 夏ならばピーマン、なす、かぼちゃ、しその葉やたまねぎ、にんじんのかきあげなど、冬ならば同様のかきあげのほかにさつまいも、かぼちゃなど。
・ひじき 油揚げ入り
・はるさめの酢の物
・白あえ ほうれん草など
・おひたし 春にはわらびなども使う。わらびは上に灰をかぶせ湯をかけて重しをし、一晩あく抜きをしてからでないと使えない。あく抜きしたわらびはちくわとともに煮物に使うこともある。
・辛子(からし)なす
・ふきの煮物や油炒(いた)め 塩漬けしておいたふきを塩出しして使う。
・あえもの この村ではウブスナサマ(産土(うぶすな)神)がごまのさやで目をついたということで、ごまは栽培しないので、えごまやくるみでささげなどの青物をあえる。あるいは大根とにんじんを短冊に切ってからゆで、味噌、砂糖、塩であえる。