中心人物

410 ~ 410

ここで中心的役割をになっているのが、オイヌシともオイノシともよばれる女性である。昭和四十三年の葬儀のときには、このオイヌシの夫が家長で、夫婦で実権をにぎっていた。しかし、その一二年後の昭和五十五年の葬儀のときには、本家の家長はその息子が引き継ぎ、オイヌシとは名ばかりで、実質的な主導権はすでに嫁に移っていた。建前上は姑(しゅうとめ)がオイヌシということになっているが、実際は後見役のような形で第一線からしりぞいていた。姑にかわりウチワの手伝いに出るようになったのは結婚後、十五、六年して一番上の子が中学生になってからであった。

 また、補佐役の家には、代々その家長に副葬儀委員長であるお取り持ち役を依頼することが多く、妻にオイヌシの補佐役を任せることが多いが、この補佐役には独立した呼称は特別にない。