里という場

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最後に、これまでみてきたような、山と町のどちらにも属していない里についてみていくことにする。町村制施行後の村から里にあたる村をあげてみると、芹田(せりた)村・吉田村・三輪村・古牧村・古里村・若槻村・柳原村・大豆島(まめじま)村・朝陽村・長沼村・安茂里村がそれにあたる。これらの村々では農家一戸あたり平均四・七反歩の田と、二・九反歩の畑、および一・八反歩の山をもっており、またその平均水田率は五九・五パーセントである。村内部の水田率をみると、古牧村内の平林村のように実に九六・三パーセントという高い数値を示す村から、古里村内の三才(さんさい)村のように二七・二パーセントという山並みに低い数値を示す村まで、かなりの幅をもっている。しかし、全体的にはおおむね五反歩近くの田と三反歩近くの畑を所有して農業に専従しており、『長野県町村誌』の「民業」欄の記述によると、冬の農閑期に藁細工をなす、という里の様相が浮かびあかってくるのである。