松代の町では、白鳥神社や祝神社を鎮守としてまつるほか、各町内では独自の神祠(しんし)をまつるところが多い。なかでもめだっているのが秋葉(あきば)社であり、その祠(ほこら)は町々に見ることができる。具体的にあげると、代官町では町内の路傍の一角に秋葉神社をまつり、九月十五日に神官を依頼して祭りがおこなわれている。火伏(ひぶ)せの神としてまつっているのだが、ここでは祭りの日に、戦前まではこどもたちが上下に分かれて「大将がくし」ということをしていたという。十四日、十五日の二晩にわたり、二組それぞれが仲間の一人を隠し、それを探しだすという、一種のゲームである。馬場町でも秋葉神社をまつり、九月十五日と一月十五日が祭日で、九月十五日にはこどもたちが太鼓をたたいて町内を回り、一月十五日にはお日待(ひまち)ということで町内の新年会を兼ねた総会をおこなっている。
田町でも町内で秋葉神社をまつり、九月十五日にはこども神輿が出たり、各戸にお札を配ったりする。伊勢町の立町では、かつて町内にあった製糸家が屋敷神としていた秋葉神社をまつっている。立町では現在は社は失われ、ふだんは町内の家がオタマシ(御神体)を預かり、九月十五日の祭日にそれを公民館に移してまつっているのである。紙屋町では秋葉神社と稲荷神社を町内の神社としてまつり、秋葉神社は九月十五日に祭りがおこなわれている。