城下町松代と門前町善光寺町における神社祭祀と祭りをみてきたが、そこにはいくつかの共通点があるのがわかる。その一つは、町内は小路や街道を軸にして形成され、それぞれが独自の神社をまつっていることが多いことと、町全体を区分するかたちで神社祭祀がおこなわれていることである。松代町では町人町の祝神社と侍町の白鳥神社があり、善光寺町は小路と大路によって武井神社・湯福神社・妻科神社の三つの氏子地域に分かれていることである。町内を構成する家々の身分による区分と地理的な区分とは、区分の性格は異なるが、町の区分が神社祭祀によっておこなわれていることは注目される。