もう一つの共通点は、松代も善光寺町も、町を区分するいっぽうでは、天王下ろしによって天王神を迎え、町の祭りをおこなっていることである。そのあり方には差があるものの、松代では東条の池田の宮から、善光寺町では妻科の聖徳宮からというように、いずれも町の外から天王神を迎えて祇園祭をおこない、これを御祭礼と称しているのである。
各町内独自の神社をまつりながら自律性を保ち、町全体の区分を神社祭祀でおこなういっぽう、町としての統合を天王神を迎えての祇園祭によって果たしている。城下町と門前町とは、その成立の契機が異なっているのであるが、こうした一致点があることからは、「町」には成立の契機を超える共通した心性の存在がうかがえるのである。