屋敷にもまた、さまざまな境が設けられている。それによって、屋敷内、屋内などの領域に分けられ、その境界は門口、軒端、戸口、敷居などによって認識される。
犬石(篠ノ井有旅(うたび))では、母屋(おもや)のほかに付属建物、庭などを含めた範囲をヤシキ、タクチなどとよび、田との境にはうつぎや桑を植え、家と家との境には石を置いて区別している。なかには、母屋の表鬼門の方角に梨(なし)の木を植え「鬼門無し」という語呂(ごろ)合わせで鬼門よけをしている家もある。しかし、ヤシキを囲うような樹木はなく、垣根もあまりみられない。