厄を払う

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災いにあいやすい年齢を厄年といい、男は二五歳と四二歳、女は一九歳と三三歳であるとするところは多い。この年に災難にあったりすると、ヤクマケをしたなどといわれた。とくに女の三三歳は出産と重なる時期なので大厄とされた。そこで、厄年にあたる人が村境でおこなわれる小正月の火祭りや、境や辻(つじ)にたつ道祖神碑の前で物を投げて厄落としをするところが多くみられる。

 たとえば、五十平(いかだいら)(七二会)ではドンドヤキのときに、厄払いとして大根を輪切りにしたあいだに硬貨を挟んで道祖神碑に投げたが、それをこどもたちが奪い合ったという。小市や中沢などではドンドヤキのなかにお賽銭(さいせん)を投げこみ、火が消えてからこどもたちが拾った。十二(じゅうに)(篠ノ井有旅(うたび))では、厄年の数より一つ少ない切れ目を入れた大根にお賽銭を加え、厄年と同じ切れ目の数にして、これを燃えているドンドヤキの火のなかへ投げこみ厄落としをした。