火祭りと呪い

658 ~ 658

また、ドンドヤキなどの火祭りは、道祖神の信仰としてだけでなく、さまざまな俗信をともなっている。東横田(篠ノ井横田)のように、ドンドヤキの火を家にもって帰り、お茶を沸かして飲むと虫歯にならないというところは多い。また、灰原(信更町)ではドンドヤキの燃え残りの枝を持ち帰り、オニノメといってトマグチの柱や壁に挿した。これは家の境界において鬼の目をつつき、内への悪いものの侵入をふせぐまじないであるとされた。岩野(松代町)のように、明治中ごろまでは若い衆が初嫁の家を巡って嫁の顔に墨を塗り、大正の初めごろまではよそから婿にきた者を抱えて「ムコ、ケツアブレ」といって火にあてて、子孫繁栄を祈願したというところもある。