東谷のカンタサン

662 ~ 663

越地区の南のはずれにある東谷では、若衆によりカンタサンとよばれる男女の人形が作られる。地大根で頭を作り、十字に組んだ竹に刺し、色紙で作った着物を着せる。モコ(婿)は右手に筆、左手に大福帳をもち、嫁は右手に扇、左手にスカリとよばれる御幣をもつ。村境にある道祖神碑にかぶせるように門松、注連飾り、藁などを積み上げ、先端に人形を付けた二メートルほどの棒をそこに立てる。婿のもつ大福帳は祈願帳ともいわれ、その年の願いごとを書きこむ。そして、ドンドヤキの火でカンタサンといっしょに道祖神碑を燃やして悪厄を集落の外に追い払う。

 また、燃え木に使われた残りの木を屋根の上に置いておくと火事にならないという。また、男の子がほしい家では燃え残った婿の顔、女の子がほしい家では同様に嫁の顔を神棚に飾ると子宝に恵まれるという。