このほかに、柴では小正月に大きなオンベを作り、家々を厄払いして巡る。一月十四日の夜、こどもたちが家々からお札を集め公民館でオンベを作る。昭和三十年ころまでは、婚礼のあった家がオンベ宿になりオンベ作りがおこなわれた。オンベの神木には子孫繁栄を願って実が多くなる柿の木を使う。お札を枝全体につるし、お札を詰めて作った頭部には「へのへのもへじ」の顔とおかっぱ頭を描く。顔の文字は鏡に映った字のように反対に描くのがきまりとされている。翌十五日、祭典部の人びとが家々を巡って「しめれやー、しめれやー」といって玄関などでオンベを振って悪厄払いをする。そして、村はずれでおこなわれるドンドヤキのときにいっしょに燃やして、集落中から集められた厄を払う。