愛宕信仰

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愛宕(あたご)信仰は京都愛宕山山頂にある愛宕神社を信仰するもので、秋葉神社と同じく火之迦具土(ひのかぐつち)神を祭神とした火防の神様といわれている。長野市内ではあまり愛宕信仰は確認されず、小祠や神社でまつられているところも数少ない。

 横沢町では、八幡神社といっしょに愛宕さんをまつっている。愛宕社が別にまつられていたころは町では火の神様として信仰し、役員によって護摩焚(ごまた)きがおこなわれていたが、八幡神社に移してからはそれもやらなくなったという。

 若穂綿内菱田の観音堂のなかにも、愛宕さんとよばれている像がまつられているが、以前その近くにあった愛宕社のものではないかといわれている。

 松代町寺尾にまつられている愛宕社は、松代城の鬼門よけに建てられ、領主による崇敬が強く、鬼門よけ火の神として信仰されたものだという。境内の石灯籠には、慶応二年(一八六六)の東寺尾愛宕講中寄進のものがあり、かつては愛宕講として庶民のあいだにも信仰があったことがうかがえる。