講社まわり

711 ~ 711

宿坊は現在は旅館となり、院坊の僧は聚長(しゅうちょう)となったが、講員のあいだではシュウチョウといった呼称はあまり使われていない。「戸隠の神主さん」とよばれることが多く、また「戸隠さん」、「先生」、あるいは「御師(おし)さん」という場合もあり、さまざまである。ここでは戸隠神社の正式な名称とされる「聚長」で記述していくことにする。

 聚長は、毎年春と秋にそれぞれ自分の担当する講を回って歩いた。これを講社まわりといった。今ではほかに職業をもった人などはおこなわなくなったというが、かつてはどの聚長もおこなっていた。ある聚長は北国街道沿いに講が存在するといい、講社まわりのさいに講をふやしていったのではないかという。また、そうした講の分布が、講社まわりに都合がよかったのであろう。講社まわりでは、講元や世話人の家に泊めてもらって順に回り、祈祷(きとう)をしてお札や土産(みやげ)を配っていった。