講の代参

711 ~ 712

戸隠神社では、月並講の祭日である月並祭定日を定めており、講員はその前日に宿泊し参詣している。この祭日は中社と宝光社と別に設けられており、時代的な変化もあるが、現在ではつぎのようである。

 中社 四月二十五日 五月一日、六日、八日、十日 六月一日 七月一日 八月一日 九月一日 十月一日

 宝光社 四月二十八日 五月三日、五日、十二日、十六日、二十日 六月十五日 七月十五日 八月十六日 九月十五日 十月十五日

 以上のように祭日は五月に集中している。四月の祭日は戦後になって田植え時期が早まった結果設けられたという。現在では、中社付近の聚長や宝光社付近の聚長もみな、同じ戸隠神社の聚長として立場は同じである。ただ、伝統的に宝光社付近の聚長の講は宝光社に、中社付近の聚長の講は中社に参詣して太々神楽(だいだいかぐら)を奉納するというのが一般的となっている。

 講の代参は聚長をとおして講中分の講金を納め、太々神楽を奉納して「太々神楽之璽(じ)」というお札と、虫よけや耕作のお守りを受けて帰る。虫よけや耕作のお守りは竹などにさして田畑にたてる。かつては奥社にある笹(ささ)の葉をとって田の周りや苗代に挿したといい、鳥に食われないための祈願だったという。とくに穴のあいた笹は、九頭龍権現(くずりゅうごんげん)がかんだ葉として霊験があるとされた。


写真2-140 戸隠神社中社(昭和60年)