今日では戸隠講も変容してきている。講の戸隠神社参詣も定期的におこなわれず、郵送によってお札などを受ける形もあるし、また地域社会ではなく、会社や組合で講を組織していることもある。雨が降らないときに区長会や水利組合などで戸隠参詣をすることもみられるという。講中でも、今ではそばを食べることが楽しみで参加するという人もいる。もちろん信仰心がまったくないというわけではないが、戸隠参詣の目的も多様化してきているといえよう。
木曽御嶽講も伝統的な先達が高齢化し、後継者はごく少ない状況である。そのなかで、伝統的なきびしい修行によらない教派・教会の教師が中心となった登拝もみられる。先達と称される御嶽行者の活動が縮小化されつつあるなかで、講はどうなってゆくのか。戸隠構や他の講でも同様であるが、交通、通信の発達や生業の変化、世代の交替などにともなって講の組織や行事などにも少しずつ変化があらわれている。