オモトヅケなど

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門徒の通過儀礼に注目すると、特色がみられるのは、新婚の女性がおこなうオモトヅケ(お門徒付け)といわれる儀礼であろう。菩提寺の新しい門徒としての加入儀礼の一種とみられる。西和田では、永代経や報恩講などの寺の行事のときに、姑(しゅうとめ)が嫁を連れてお参りをする。庫裏(くり)で住職と家族にあいさつをしてから本堂へ行って礼拝する。住職から嫁さんへ念珠(数珠(じゅず))が贈られるという。浅川西平(にしひら)では、永代経などのときに姑が嫁を連れて寺へお参りにいく。オモトヅケは結婚後、一年以内におこなうという。嫁さんへは寺から輪袈裟(わげさ)が贈られる。西尾張部では、報恩講などのときにおこない、嫁さんを同行(どうぎょう)(信仰を同じくする門徒)に披露するのだという。寺から嫁さんへは夫婦(めおと)数珠が贈られる。

 葬儀ののち、善光寺へ遺骨を持参して骨開帳(こつがいちょう)をおこなうことは、宗派を問わず広くみられる。門徒の人たちも骨開帳を熱心におこなっている。五分一では、葬儀の翌日か翌々日に遺骨をもって菩提寺のお寺参りをすませてから、善光寺の骨開帳にいく。西和田では、「善光寺の鐘が聞こえる範囲」から骨開帳にいくという言い方をしている。本山納骨をする門徒もいるが、それほど多くはないようである。

 西和田では本山(ほんざん)講があり、第二次世界大戦まで西本願寺へ本山参りをしていた。門徒だけでなく他宗檀家を含む集落全体の講になっていた。本山参りへいかなくても本山講は維持されていたが、昭和四十年過ぎに解散した。御因講(おちなみ)といって、女衆中心の本山参りの講もあったという。