はじめに

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 私たちの生活は常に他の人びととのかかわりのうえに成立している。どんなに一人だけで生活しようとしても、社会生活としての側面をまったく欠いてしまうことはできない。かつては、先祖代々の屋敷に住み、大地を耕して生活の糧(かて)を得ることはごくあたりまえの生活であった。何世代にもわたる人びとの集団が一定の地域において生活し、長い歴史を踏まえて形成された地域社会がそこにはあった。

 しかし、産業・生産形態の変化とともに、かならずしも大地に依存する生活だけではなく、むしろ会社などの企業に勤めて生活を営む人びとが多くなってきた。そのような生活形態の変化とともに、地域社会のあり方も変わってきた。それは生活圏の拡大をもたらすとともに、耕作地は住宅地化し、そこに新しい地域社会が形成されるようになった。

 このような傾向は全国的なものであり、長野市においてもまたそうした変化から逃れることはできなかった。