こどもにたいする関心にもとづいて、こどもを対象とした行事をおこなっているところは多い。その代表的なものが、小正月の火祭りと神社の祭りである。小正月のドンドンヤキは、親たちがいずれも体験したことのある楽しい正月の行事であった。しかも、こどもたちが中心となっておこなわれるものであった。ほとんどの団地では、最初の正月からドンドンヤキをおこなっている。ただ、こども組のような組織があるわけではない。したがって、こども中心というわけにはいかず、PTAや公民館の活動の一環としておこなわれた。あるいは、そのような組織だったものではなく、正月飾りの処理をするために自然に人びとが集まり、こどもたちがそれに加わったというものもある。そこには地域の年中行事としての意識や、道祖神祭りとしての性格はなかった。ドンドンヤキがおこなわれるようになってから、その行事の意味を広報紙などで説明したりすることはあっても、それは一般論としての知識に基づくものであった。ほんらいならさまざまな地域的な伝承をもつドンドンヤキ行事も、小正月に正月飾りを芯棒(しんぼう)に巻き立てて焼くという行為およびこどもたちが参加するということのみを共通点とし実施されているのである。
これにたいして、神社の祭りのしかたには、各団地において多少の相違がみられる。祭りの対象となる神社のあり方が一様ではないからであろう。