松代城において門や橋の復元、石垣の修復、土塁・堀の整備がすすむにつれ、近世後半期の松代城の姿が明らかになってきた。本丸や二の丸出入り口などにのみ石垣が築かれていたものの、二の丸を囲む土塁や独立型の櫓門など、松代城によみがえる城郭景観は中世城郭の要素を多分に残しており、松代城が中世以来の伝統的な景観を承継してきたことが想像される。
現在松代町には、近世に建てられた藩校や武家屋敷、町屋、寺院など数多くの町並みと、町割りや水路、庭園などの伝統的環境とが一体となって残っている。これは、城下町においても伝統を守ってきた結果と考えられ、松代に住む人々には伝統的環境を尊重する精神までもが脈々と受け継がれていることがうかがえる。