高齢化社会と福祉事業の整備

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長野市の総人口にたいする六五歳以上が占める、いわゆる高齢化率の推移は、図51のようである。平成十七年(二〇〇五)以降の見こみ率は二〇パーセントをこえ、平均五人に一人が六五歳以上になることが予想されている。


図51 長野市の40~64歳および65歳以上の人口推移
(『第3次長野市老人保健福祉計画』より)

 とくに、六五歳以上の後期高齢者人口の増加は、要援護高齢者(寝たきり・痴呆性(ちほうせい)・虚弱など)の増加傾向を示し、そのための実態調査や援護措置が必要になってきた。長野市は、昭和五十二年(一九七七)十月九日「福祉都市宣言」を出しているが、国も昭和五十八年二月一日に「老人保健法」を制定して、老人の健康保持と適切な医療を確保し、福祉の増進をはかることにしている。

 昭和六十一年には「第二次長野市総合基本計画」のなかで、高齢者福祉計画をたて、さらに、平成元年(一九八九)六月には、「第二次長野市総合計画」の補正をするとともに、向こう七ヵ年の「長野市老人保健福祉計画」を策定して、総合的サービス体制の整備をはかってきた。

 平成五年以降の要援護後期高齢者数は、在宅虚弱がもっとも多く、平成九年度以降は三〇〇〇人をこえ、在宅寝たきりは、八年度以降一五〇〇人をこえている。また、在宅痴呆は全体的に数百人にとどまるが、八年度以降に増加の割合が増えている。このような実態から、市がおこなう老人援護には、大きく分けて、①老人保健サービス、②在宅福祉サービス、③施設サービス、①生きがい対策事業があげられる。

 このうち、在宅福祉サービスのホームヘルプサービスでは、平成五年度のヘルパー数八八人にたいして、十年度末には一五〇人(パートヘルパーをふくむ)に増員した。同七年度には、時間外・休日の対応も試行し、九年度から巡回型のヘルプサービスを始めた。さらに、十年度からは、二十四時間型対応で実施するようになった。このほかに、デイサービス・ショートステイ・入浴サービス・配食サービスなどがおこなわれている。

 これらの在宅介護(かいご)に必要な相談に、二四時間体制で応じるため、在宅介護支援センターの設置を、表47のように平成七年四月長野赤十字病院内に設置したことに始まり、平成十年度末には七ヵ所が整備された。さらに、十一年度には基幹型の「ふれあい在宅介護支援センター」を市役所内に設置し、同十二年発足の介護保険制度とあわせて、十五年度末までには、ほぼ全市域にわたって一九ヵ所に設置された。


表47 在宅介護支援センター

 この各支援センターは、担当地域が決められ、職員数人が常駐し、このほかに、担当地域内の民生・児童委員、保健補導員地区正副会長、老人クラブ連合会理事、薬局・郵便局などが、相談協力員にあげられている。在宅介護についての相談ごとは、まず、身近な地域内の相談協力員に相談し、協力員はその結果を支援センターの専任職員に通じて、必要な処置をするようになっている。

 施設サービスの特別養護老人ホームは、身体障害があるために常時介護が必要で、在宅で介護をうけることが困難な高齢者が入所する施設である。この施設への入所は、一八市町村からなる広域圏域(長野老人保健福祉圏域)を利用範囲としているため、市外の施設への入所もできる。市内の設置状況は、平成五年度に八施設・四七六床であったが、平成十年度末には、一二施設・六七六床になり、市外への入所者をふくめると七一九人(二五施設)になっている。

 養護老人ホームは、身体上、精神上または環境上の理由および経済的な理由により、在宅での生活が困難な高齢者が入所する施設である。

 このほか、施設サービスには、軽費老人ホーム・ケアハウス・老人福祉センター・老人憩(いこい)の家・老人保健施設・保健センター・老人訪問看護ステーションなどが設置されている。


写真154 移動入浴車による寝たきり老人への入浴サービス

 また、生きがい対策事業として、老人のクラブ活動促進事業、老人バス優待(ゆうたい)乗車事業、すこやか入浴事業、老人大学園運営事業、ゲートボールコート設置助成事業、老人農園開設事業、高齢者就労促進(老人花づくり農園)、高齢者授産(じゅさん)施設就労奨励金支給事業、はり・マッサージ費などの助成事業がある。