住まいとそれを取り巻く環境との関係も、住まう人がそこにいてこそ成り立つものである。器(うつわ)としての住まいも、息づいている。住まう人がいれば生きながらえるが、いなくなれば朽(く)ちる。それこそ、住まいは生き物であるといえる。
そうしたとき、住宅産業界から新たな住まいの提唱がなされ、全国画一化した住宅が林立し、住宅も大量消費の時代となった。外見は新しい住まいであっても、そこに住まう人びとの豊かな創造力が試される時代が到来したともいえる。ライフスタイルの変化によって住まいに寄せる意識も多様化し、環境を重視した住まいへの期待も大きくなってきた現在、住処(すみか)としての安住の場としてだけではなく、新たな創造空間としての住まいのあり方が模索されはじめてきている。