あとがき

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 長野市制百周年記念事業の長野市誌全一六巻は、自然編一巻、歴史編七巻、旧市町村史編二巻、民俗編一巻、資料編四巻(自然一、原始・古代・中世一、近世一、近現代一)、総集編一巻をもって構成されている。編さん事業は準備期間をへて平成四年(一九九二)から本格的に開始され、長野市制施行百周年の平成九年に最初の四巻を発刊した。その後年々計画どおり刊行して一四巻を世に送り、本年度の二巻をもって完結することになった。

 この総集編は、書名のとおり、既刊の自然編、歴史編、旧市町村史編、民俗編の記述内容を精選、要約して描くものであるが、単なるダイジェスト版ではなく、新しい視点や最新の研究成果もとりいれ、内容を再構成して編集することにした。

 既刊の各巻は大部な内容のため、長野市の全容がわかりにくいのが、おおかたの実情ではないかと思われる。そこで、この一冊をみれば長野市域の自然・民俗の特色と変化、原始から現代にいたる歴史的変化とその特色のあらましが把握できるものとする方針で編集することとした。文章は既刊の各巻よりいっそう簡明、平易なものとし、さらに親しみやすく興味をもって読んでいただけるよう、オールカラー印刷にして写真・図表などを多くとりいれ、厚すぎないハンディーな本とすることに留意した。なお、編集・刊行の計画については、これまでと同様に、すべて市誌編さん委員会と市誌刊行委員会に付議して検討のうえ承認された。

 総集編の編集・執筆の担当者は、従来の各巻が自然、原始・古代・中世史、近世史、近現代史、旧市町村史、民俗各部会の部員・調査執筆員が十数人から数十人で担当したのにたいして、各部会一、二人から八人の少人数で編成して編集、執筆にあたった。巻全体の構成は、編集委員会の検討をへて、目次のように四部構成とした。所定ページ数と担当執筆者を確定したあと、執筆計画立案、作成原稿は、執筆者の分科会と全体会で検討を重ねた。

 総集編の性格上、まったく新たにおこなった史資料調査は多くはないが、各方面に助力を願った。また、既刊の各巻で調査した膨大な史資料には今回も多くを依拠して執筆した。それとは別に、カラー写真・図版を掲載するため多くの提供をうけた。本書が編集・刊行できた背景には、これら平成四年以来の、そして今回の、史資料調査や写真掲載に快く応じてくださった所蔵機関・個人各位をはじめ、多数の方がたからの多大のご協力があった。本書の制作にあたっては、東京法令出版株式会社の入念な内校など積極的な協力をうけている。あわせて深く謝意を表する。

 長野市誌は、当平成十六年度に他の一巻の歴史編年表を刊行して、長年の編さん・刊行が終了する。この大きな修史事業が順調に進んできたのは、市当局の尽力はもとより、広く市民各位のご理解ご協力があったからである。銘記して深謝申しあげる。

  平成十六年(二〇〇四)十二月十五日

長野市誌編さん委員長 中村一雄