私たち人類の一つの特長は、物ごとはなぜ変化するかと疑をもち反省することの出来ることだと考えるが、一個の人としてかえり見るとき、今日の私を形成する重要なものは代々の一族に伝わり、父母から受けた血統とまた私たちをめぐる、環境から受ける影響の重大さを痛感せざるを得ない。「年々歳々花相似たり、年々歳々人同じからず」という、古い詩の一節があるが人の生命のはかなさにくらべて、確かに自然は変化しないように見える。しかしこの不動に見える自然も、実は歳月と共に変化しているのであって、長柄地域を理解するためには、悠久のこの自然的環境の移り変わりを辿ることによって、その中にあってよりよい生活を求めて苦斗して来たであろう。先祖の努力の姿をここでは伺い見たいと思う。