年貢減免のしかたには二通りある。「水損に付キ御用捨(ごようしゃ)米何石何斗」と、米の量で示すものと、「不作ニ付引方何分何厘」と率で示すものとである。何れにしても検見を実施し、減収を確認して減免するのであるが、天保七年(一八三六)九月、舟木村役人に宛てられた地頭の「申渡之覚」(27)に、「遠見四分五厘御引方御用捨相成」とある。これは、率で減免したものであるが、遠見検見(とうみけみ)については若干説明を加えたい。
地方凡例録(ぢかたはんれいろく)に、「全体の作毛がほぼ揃っている場所は、一筆残らず坪刈りをするには日数がかかり、人夫などの費用もかさんで村方が難儀するので、耕地の入口を見て取締り、内見帳を差出させて吟味の上租率を決めることを遠見検見という。」といった趣旨の説明がある。また、名主を江戸へ呼び寄せ、作毛のでき方を糺して免を決めることを「居検見(いけんみ)」というが、これは現地を見ないのである。居検見や遠見検見は、小身の領主が行なう方法で、御料や大名領、大身の旗本領にはないことである。しかし、郷土では遠見検見や居検見が時々なされた村々も大分あった。