田畑・屋敷に課される正租を御物成というのに対し、山林・原野・河海等に課される雑税を小物成といった。百姓持山にかかる山年貢、村持秣場などにかかる山手永、原野にかかる野年貢・草年貢、地頭林や御林の下草刈りにかかる下草銭など種々な名目の雑税が賦課された。しかし、郷土の村々では、小物成を上納していた村は少なかったようである。海や河川からの収入のない郷土では、網役など考えられない。山林・原野に茶や楮(こうぞ)を植付けた形跡がないから、その面の小物成もなかった。あったとしても下草銭か山年貢で、きわめて少額の貢納と考えられる。針ケ谷村明細帳に、「野手・山手其外小物成御座無く候、」とある。高に加えられていない土地からの定期的雑租が小物成であるが、これに関する郷土史料は見出せなかった。