幕藩体制を支えるものは農村であり、農村の基礎となるものは本百姓である。既に述べたように、本百姓は田畑を所有耕作し、年貢諸役の負担者として検地帳に登録された百姓である。この中から、退転百姓・欠落(かけおち)百姓・潰(つぶれ)百姓・走(はしり)百姓などといわれる者が出て、農業人口が減少することは、幕藩体制が根底から崩れることである。百姓の退転を防ぐには、百姓を土地にしばりつけておく必要があった。大名が国替えとなっても、百姓を連れて行くことは厳禁されていた。石高制も百姓あってのことであり、百姓のいない耕地は無意味であった。