1 無賃

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 将軍の発する朱印状や、老中、京都所司代、大阪城代、駿府城代、勘定奉行等の発行する証文を所持する者は、無賃で人馬を使用することができた。天保九年の私領巡見使安藤次右衛門の携帯していた朱印状に、「御朱印人足八人、御朱印伝馬(てんま)五匹」とあるが、これは無賃人馬である。安永九年の桝改(ますあらため)の際、樽屋与左衛門名代の者へ与えられた勘定奉行の証文(14)にも、馬一匹を無賃で使えるようになっている。また、日光社参、鷹狩、猪鹿狩等の人足馬も無賃であったが、中には扶持米を給されることもあった。享保一三年の日光社参の際の江戸詰人馬の扶持米は、馬一匹につき馬士とも八升、人足一人につき四升であった。