離縁は、男の側から一方的に、しかも簡単になされた。理由は、「家風に合わざるため」でも「拙者都合により」でもよかった。離縁状のことは去状(さりじょう)ともいい、また、俗に「三下(みくだ)り半」とも称された。普通三行半で書かれたからである。しかし、三行半と決められていたわけでなく、二行でも五行でもよかった。写真のように「其方事縁無く離縁之上は、此方ニ構い無し、一札件(くだん)の如し」といったような簡単なものもあれば、典型的三下り半もあった。ただ、離縁の上は、「何方え縁組致し候共、私方にて一切差構(いっさいさしかま)い申す間敷(まじく)候」といった趣旨は必ず書添えてあった。このように男権の強い社会でも、「嬶天下(かかあでんか)」はあったようであるから不思議である。
離縁状(町外文書)