[ゆらぐ幕藩体制]

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 一一代将軍家斉の君臨した文化・文政期は、大江戸の栄は極まり、徳川氏の権勢は不動のものにみえた。しかし、その社会は金がものをいう世の中となっていた。現物貢納を主軸とする封建社会において、金力が強まったことは、とりもなおさず封建体制の否定である。幕藩体制の屋台骨は、貨幣経済という白蟻に喰い荒らされ、強風に当たれば一挙に倒壊する運命に近づきつつあった。