1 安政の大獄

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大老井伊直弼は、尊王攘夷運動を展開し、倒幕運動に走る志士たちを弾圧した。いわゆる安政の大獄である。水戸斉昭を筆頭に親藩一門の諸大名が隠居や蟄居を命ぜられ、橋本左内、吉田松陰、頼三樹三郎等が死罪に処せられた外、多くの切腹、死罪、獄門、遠島者を出した。
 翌万延元年(一八六〇)井伊直弼は、水戸浪士らにより桜田門外で暗殺された。直弼の政治家としての功罪は別として、幕府の大老が、白昼江戸城近くで斬殺されたという事態は、徳川政権の斜陽を如実に示すこととなった。文久元年(一八六一)幕府は、将軍家茂に皇妹和宮の降嫁を願い、公武合体による、武家政治の延命策に必死となった。