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 長柄、日吉、水上の三村が合併して長柄町が誕生したのは昭和三十年四月二十九日のことですが、以来、水と緑と太陽に恵まれた明かるい豊かな町として、充実した発展を期してまいりました。
 近年、町民の生活水準は向上し、物質的生活はかつてない豊かなものとなり、自由時間も増大しています。
 また、生活様式は都市化され、農業は近代化されて郷土の様相は一変しようとしています。
 このような状況の中で、ややもすると地域の歴史や伝統的な文化遺産だけでなく、美しい自然さえも破壊されてゆくおそれがないわけではありません。
 いまこそ町民のひとりびとりが、町に残された有形、無形の文化遺産を保護し、次の世代へ引継ぐことは、私達に課せられた責務であると思います。
 そこで、本町では昭和四十二年長柄町史の編纂を企画し、同五十二年長柄町史(本編)の刊行をみたのでありますが、各委員の日夜をわかたぬ史料調査と史料所蔵者の絶大なる協力により、数多くの貴重な資料が発見され、頁数の関係から、現代編を除いて刊行せざるを得ませんでした。
 このたび関係各位の御協力により、現代編(続編)を刊行する運びとなりましたことは誠に喜びにたえません。
 これによって、明治以来の町民の伝統的な生活様式や習俗、制度、産業構造などの近代化の過程が明かとなり、より深く地域の歴史を知ることができると思います。
 地域の歴史と文化の移り変りについて、正しい理解をうることは、私たちに教訓と英知をあたえ、明日に向ってより豊かな人間関係と地域連帯の町づくりに、大きな力となるものと信じます。
 終りに、このたびの刊行に際し、並々ならぬお骨折りをいただきました顧問の方々、永井義憲編纂委員長はじめ編纂委員の皆様方に心からお礼申し上げますと共に、貴重な資料を提供くださった方々に深甚なる感謝を申し上げる次第であります。
  昭和五十六年三月
                     長柄町長  川嶋美董