小規模町村の合併を計画的、合理的に行い、町村の能力を充実し、その運営を能率化し、地方自治の地盤を強化し、国及び地方を通じる行政を合理化する基礎を固める。そのために、各町村は、目前の利害や従来の感情、ゆきがかり等にとらわれることなく、交通・経済・文化の発達、行政の進展を考え、真に住民の福祉の向上を期して、次の要領で合併の推進を図った。
　
　　(1)　法第三条の規定によれば、町村の標準人口は八千人以上とされているが、行政能力をより向上させるため、実情に応じて、できるだけ規模を大きくすること。
　　(2)　町村の合併は、単に個々の町村の個別的な利害を考えるだけでなく、広く国及び都道村県の立場から考慮し、全般的に均衡のとれた適正規模の合併を図るべきであって、いやしくも一・二の弱小町村が取り残される等、自治行政の将来に禍恨を残すことのないよう留意すること。
　　(3)　町村の合併は、専ら関係住民の福祉と規模の適正化を基礎とし、具体的実情に応じて行うべきものであり、郡の境界に拘泥しないよう配慮する。なお、都道府県の境界にわたって町村合併または境界変更が適当と認められる場合も、大局的見地からその解決を図ること。
　　(4)　弱小町村を解消するため、市に編入することが適当であると認められる場合は、町村と市の合併を考慮すること。

　　(6)　合併後の新町村名については、なるべくわかり易く、読みちがいの起こらないよう留意すること。なお、旧町村名は、なるべく町名または大字名として残すこと。
　　(7)　町村合併に際しては、関係町村は未収の債券を徴収し、未払いの債務を弁済する等、新町村に引継ぐべき事務を誠実に処理し、新町村の発足に支障のないようにすること。
　　(8)　関係町村は、その財産、営造物を総て新町村に引継いで新町村の維持発展を図るものとし、いやしくも合併前にこれらを処分することのないようにすること。なお、特別の事情があって、これらを新町村に引継ぐことが適当でないと認められるときは、特に旧町村の区域をもって財産区を設けること。
　　(9)　関係町村の区域内の公共的団体は、努めて統合するものとし、新町村の一体性を速かに確立すること。農業協同組合については、同組合が農村経済の機関としての機能を充分に果たし得るよう、可能な限り合併を行うものとし、合併不可能な場合においては、連絡組織を結成すること。
　　(10)　市街地と農村地帯とが合併するような場合においては、そのために農業の振興発達が阻害されることのないよう、適切な配慮を加えること。
 

(県より一般に配布せられた合併宣伝の八頁の小冊子)