(ア) 組合設立申請。明治四四年五月一四日、県知事告森良宛に提出。代表者は次の一一名。鹿間政太良。阿部和一 仲村玄造。鹿間粂造。鹿間惣次郎。山田定吉。柴崎兼吉。仲村源七。阿部理作。鹿間定吉。阿部徳次良。
(イ) 工事計画
○ 工事施工の目的は「……従来ヨリ敢テ用水量ノ不足ヲ来セシコトナキモ、地区下部ニ属スル畑地面積五町三反歩(五・三ヘクタール)余ヲ変換シテ耕田トナス時ハ、永遠ニ於ケル収益ヲ獲得スルヲ以テ、所有者相図リ、個人変換ヲナサントスルモ、地面ノ傾斜甚ダシキノミナラズ、用水量ノ関係上、其ノ上部ノ耕田ヲ加ヘ規正ノ面積ヲ画シテ整理ヲ施行セントス」るにある。
○ 工事内容は、
①灌水排水が自由にできるよう、承水溝と排水溝の連絡をよくすること。
②耕道を設けて排水の便を図ること。
③水田は地勢に応じて区画し、畦畔も多少修正すること。
④用水源である三貯水池(溝坂、坊谷、方ケ谷)は拡げ、土を浚渫すること、この工事計画は、次の通りであった。
○ 溝坂貯水池
この溜池は、面積六反一四歩(約六アール)あるが数十年間浚渫をしないので、土砂が積り、水深僅か三尺(〇・九米)ほどなので、底部の土砂を渫浚し、堤を積上げ、水深を七尺(二・一米)にし、その上の堤を三尺高くし、土手の幅は九尺とする。これによって、六町九反三畝一歩(約七ヘクタール)の耕地をうるおすことができる。
○ 坊谷貯水池
前者と同様、池底を浚渫、水深を七尺にし、堤は水面から二尺五寸築き上げ、馬踏(土手の幅)を六尺にする。以前より四倍の強さとなる。受益面積は、四町二反九畝二四歩。
○ 方ケ谷貯水池
現在の面積より一反歩(一〇アール)広げ、水面積を二反三畝二九歩、水深を六尺まで浚渫する。堤はそのままで安全である。受益面積、四町一反三畝二七歩。
○ 工事施工の目的は「……従来ヨリ敢テ用水量ノ不足ヲ来セシコトナキモ、地区下部ニ属スル畑地面積五町三反歩(五・三ヘクタール)余ヲ変換シテ耕田トナス時ハ、永遠ニ於ケル収益ヲ獲得スルヲ以テ、所有者相図リ、個人変換ヲナサントスルモ、地面ノ傾斜甚ダシキノミナラズ、用水量ノ関係上、其ノ上部ノ耕田ヲ加ヘ規正ノ面積ヲ画シテ整理ヲ施行セントス」るにある。
○ 工事内容は、
①灌水排水が自由にできるよう、承水溝と排水溝の連絡をよくすること。
②耕道を設けて排水の便を図ること。
③水田は地勢に応じて区画し、畦畔も多少修正すること。
④用水源である三貯水池(溝坂、坊谷、方ケ谷)は拡げ、土を浚渫すること、この工事計画は、次の通りであった。
○ 溝坂貯水池
この溜池は、面積六反一四歩(約六アール)あるが数十年間浚渫をしないので、土砂が積り、水深僅か三尺(〇・九米)ほどなので、底部の土砂を渫浚し、堤を積上げ、水深を七尺(二・一米)にし、その上の堤を三尺高くし、土手の幅は九尺とする。これによって、六町九反三畝一歩(約七ヘクタール)の耕地をうるおすことができる。
○ 坊谷貯水池
前者と同様、池底を浚渫、水深を七尺にし、堤は水面から二尺五寸築き上げ、馬踏(土手の幅)を六尺にする。以前より四倍の強さとなる。受益面積は、四町二反九畝二四歩。
○ 方ケ谷貯水池
現在の面積より一反歩(一〇アール)広げ、水面積を二反三畝二九歩、水深を六尺まで浚渫する。堤はそのままで安全である。受益面積、四町一反三畝二七歩。
(ウ) 工事費及び耕地面積
○ 総工費予算、二千九百拾円六拾壱銭二厘
内訳 金百六二円四二銭 道路費
金百三〇円八八銭 水路費
金百三九円四四銭 畦畔費
金千二百七四円一六銭 耕地功均費
金六百八三円四銭二厘 溜池費
金四百一四円七銭 工作物諸費
金百六円六〇銭 測量費
○ 総面積弐拾五町五反一畝二〇歩
総地価九千六百六三円八七銭
○ 総工費予算、二千九百拾円六拾壱銭二厘
内訳 金百六二円四二銭 道路費
金百三〇円八八銭 水路費
金百三九円四四銭 畦畔費
金千二百七四円一六銭 耕地功均費
金六百八三円四銭二厘 溜池費
金四百一四円七銭 工作物諸費
金百六円六〇銭 測量費
○ 総面積弐拾五町五反一畝二〇歩
総地価九千六百六三円八七銭
以上であるが、この工事遂行に当り、詳細な基礎調査を行っている。これは当時の状況を知る上に参考となるので、その一部を註(8)に掲げておく。